■動画編集で使われるソフト、実際の仕事の流れと必要なスキルは?
動画編集には、YMM4(ゆっくりムービーメーカー4)を使用しています。ゆっくり解説というジャンルでよく使われている無料のソフトです。
YMM4はgoogleのスプレッドシート等で作成した台本を読み込ませば、その通りに字幕が出てきて音声が読み上げてくれるソフトです。
そこに音源や背景、効果音、画像素材を挿入していったり、画像素材にエフェクトをかけて動きをつけたりします。
実際の流れとしては、クライアントから台本を受け取ったら内容を確認します。
台本を読んで、登場人物を確認。どのセリフをどの音声で読ませるかを決めてソフト上で設定します。複数人のキャラが喋っているようにキャラごとに音質を変えたり、声の高さを変えたりすることができます。
設定がある程度決まれば、ソフトに台本を読み込ませます。すると字幕とセリフが自動的に編集画面に表示されます。
その後、実際にセリフを読ませて誤字・脱字をチェックします。音声が間違って発音する単語があるので、適切に発音するようチェック・修正します。
その後は、そのセリフに合う画像素材や効果音、背景画像やBGMを挿入していきます。ここで注意しないといけないのが、youtubeチャンネルでゆっくり動画を収益化しようとするとき、画面に動きがないと収益化できないと判断されることがあります。
背景も動画にして、数分経ったら次は別の動画に切り替える、画像素材にもエフェクトをかけて上下にゆっくり動かしておく、10~15秒以内に画像は変えるなど動きがあるように制作することが必要です。
そのため、多くの素材を探すスキルが求められます。商用利用が可能な動画やイラストサイトをいくつか持っておいて、素材ストックを増やしていきましょう。
ある程度の本数こなしていけば、いちいち新しい素材を調達しなくても自身の今までのストック分で対応できるようになります。
そして、その画像やイラストを動かすためのエフェクトのかけ方もたくさんあるので、YMM4でどんな動きができるのか知っておくことも求められます。
キャラがスキップしているように移動させたり、怖がっているように震わせてみたりと色々なことができます。
これらはネットや動画を使って説明してくれている人も多いですし、youtubeで上がっている他の人が編集したゆっくり解説の動画を見て学ぶことがコツです。
しかし、たくさんイラストを動かせておけば良いという訳でもありません。毎回素材が上下に動いていたり、拡大縮小をし続けている動画を見ると画面酔いをしたり、くどいと感じる演出にも繋がります。
そのため、動画を見る側に立って見やすい動画になっているかもその都度意識していくことが必要です。求められる動画のテイストによっては、見ていて楽しくなるような動きやキャラの多い動画にしてください、というオーダーもあれば、対象としている年齢層が高くラジオ感覚で聞いてもらっているので、収益化が剥奪されない程度にしてくれたらいいよ、というオーダーもあります。
求められている動画の雰囲気を感じ取るスキルも少なからず必要なので、そのチャンネルが今までどんな雰囲気の動画を上げてきたのか、ライバルチャンネルの動画との違いも調べつつ、そこで自分が継続した依頼をもらうにはどうすればいいか日々考えながら取り組んでいっています。
そして動画が完成したら、一旦クライアントに提出します。クライアントがチェックした後には何かしらのフィードバックがあります。
ただ単に「誤字脱字があります」という指摘から、「ここのBGMは小さい方がいいです」「もう少しイラストに動きをつけてください」などの指摘もあります。
自分では(こうした方がいいと思ってそうしたのに)と思うこともありますが、指摘を柔軟に受け入れて的確に修正する素直も求められます。
今までに数人のクライアントと仕事をしてきましたが、やはり指摘にも素直に対応してくれる人には次も依頼をしたくなると言われることもあります。
ビジネスとはいえ、人と人のやり取りですので、気持ちよくやり取りできるようコミュニケーションも大切だと感じます。その後、一通り修正が完了し、再提出してOKが出れば納品となります。
■動画編集はどうやって習得しましたか?
YMM4の基本的な操作や使い方は、インターネットで検索すればたくさん出てきます。また、YMM4を配布してくれている「饅頭遣いのおもちゃ箱」でもQ&Aの形で操作方法を記載してくれています。
最近はyoutubeでもPC画面を映してYMM4での素材にエフェクトをかけるやり方等を分かりやすく教えてくれる動画も多いです。
私は今まで基本的にyoutubeで他の方が使い方を教えてくれる動画を見ながら勉強し、継続のクライアントがつくようになりました。
習得するためにわざわざ書籍を購入する必要がないので、動画編集が初心者の人にも挑戦しやすいソフトだと思います。
■動画編集の収入面と将来性は?
経験や実績を積んでいくと、クラウドソーシングでは10分程度の動画で10,000円、15分程度で15,000円など少しずつ単価を上げていくことができます。
動画のテイストにもよりますが、10分程度の動画なら3~4時間で制作することができます。ただ主婦や学生でも挑戦できるジャンルなだけに競争率は高く、契約が取れない場合もあります。
10分程度の動画作成を10,000円の報酬で依頼を受け、4時間で完成できれば時給にして2,500円。悪くないですね。
実績を増やしていけば、その数字だけで契約が取れるようになってくるので、最初は10分程度の動画で2,000円~で依頼を受けることもありました。
YMM4を始めて1ヵ月後には、2,500円で受けていたような内容を4,500円で依頼してもらえるようになりました。私の場合ですが、動画編集を始めて1か月目は20,000円、2ヶ月目で月50,000円ほどの収入になりました。
初心者からの挑戦だとどうしても副業程度の収入になりますが、動画編集の需要はなくならないので、スキルを上げていけば収入を上げていくことが可能です。
特にYMM4はナレーターを用意しなくても台本を音声で読み上げてくれますし、顔出ししなくても立ち絵に喋らせることも可能なので、youtubeチャンネルに投稿する動画としては挑戦しやすい、ハードルの低いジャンルです。そのため、ゆっくり解説の動画編集は需要が高いです。
■動画編集のメリット・デメリットは?
YMM4を使った場合に限られますが、無料ソフトを使用し、お金をかけずにスキルを磨いていけることがメリットだと感じます。
初心者で動画編集を始めるために有料の動画編集ソフトを購入するのは、抵抗があると感じる人は多いと思います。
まずは無料のYMM4を使って動画編集に触れていき、自分に向いているな、もっと編集できる幅を拡げたいな、と思えば有料の動画編集ソフトを購入するにも一つだと思います。
またよくあるyoutuberの録画した動画のカットが必要な動画編集は、元の動画が数時間あるため「どこを見どころにしてカットしていくか」判断するのにかなり時間がかかります。
しかし、ゆっくり解説動画には元の動画はほとんど用意されておらず、基本的には台本のみ渡されるので、スキマ時間で動画編集したい人、時間単価を上げたい人には向いていると思います。
デメリットとしては、基本的には時間単価が低くなる傾向があることです。ゆっくり解説動画のジャンルにもよりますが、素材や音源、効果音素材を自分で集めることが前提なことも多いので準備に時間がかかります。
また初心者でも挑戦しやすい分野のため、低報酬で募集をしているクライアントも多く見受けられます。
ただ、実績を増やしていき、継続のクライアントがつくようになれば1ヵ月単位で契約内容の見直し(報酬のアップ)を交渉することも可能です。
またyoutubeに投稿する動画の依頼を受けることが多く、クライアントも複数いましたが、やはりそのチャンネルが収益化できて順調に収益を得ていないとチャンネル閉鎖してしまうことになり、仕事が切れてしまうことがあります。
そうなった場合、新たなクライアントを自分から探すことになるので、収入が安定しないことがあります。
■仕事でこんなミスをしてしまった!
初心者の頃は、初めて依頼を受けたクライアントから「これと同じように作ってください」と参考動画を頂いて動画編集に取り組みましたが、必死になりすぎて「こうしたらもっと見やすいんじゃないか」と思って次第に参考動画とはテイストが違う動画を作ってしまったことがあり、最初から作り直したことがありました。
大体のクライアントからは「こんな感じの動画を作って欲しい」というイメージがあり、参考動画も持たれているので見たまま作ることも求められます。意外に動画を見てコピーするのもスキルが必要なので、色んな動画に挑戦していって対応できる引き出しを増やしていくのがオススメです。
現役の動画編集者に色々聞いてみました。動画編集ができれば仕事の幅が広がりそうですね。以上、パソコンスキルの取得をお考えの方に少しでも参考になれば幸いです。